地獄篇 眠られぬ夜のために 神曲

法について 「眠られぬ夜のために」9月5日

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法そのものは、今も昔も、真実といつわりの奇妙な混り物である。

「眠られぬ夜のために」9月5日より

ダンテ 神曲 地獄篇第九歌55-105

身をめぐらし後にむかひて目を閉ぢよ、若しゴルゴンあらはれ、汝これを見ば、再び上に歸らんすべなし 五五―五七

師はかくいひて自らわが身を背かしめ、またわが手を危ぶみ、おのが手をもてわが目を蔽へり 五八―六〇

あゝまことの聰明あるものよ、奇しき詩のかげにかくるゝをしへを見よ 六一―六三

この時既にすさまじく犇めく物音濁れる波を傳ひ來りて兩岸これがために震へり 六四―六六

こはあたかも反する熱によりて荒れ、林を打ちて支ふるものなく、枝を折り裂き 六七―

うち落し吹きおくり、塵を滿たしてまたほこりかに吹き進み、獸と牧者を走らしむる風の響きのごとくなりき ―七二

かれ手を放ちていひけるは、いざ目をかの年へし水沫にそゝげ、かなた烟のいと深きあたりに 七三―七五

たとへば敵なる蛇におどろき、群居る蛙みな水に沈みて消え、地に蹲まるにいたるごとく 七六―七八

我は一者の前を走れる千餘の滅亡の魂をみき、この者徒歩にてスティージェを渡るにその蹠濡るゝことなし 七九―八一

かれはしば〳〵左手をのべて顏のあたりの霧をはらへり、その疲れし如くなりしはたゞこの累ありしためのみ 八二―八四

我は彼が天より遣はされし者なるをさだかに知りて師にむかへるに、師は我に示して口を噤ましめ、また身をその前にかゞめしむ 八五―八七

あゝその憤りいかばかりぞや、かれ門にゆき、支ふる者なければ一の小さき杖をもてこれをひらけり 八八―九〇

かくて恐ろしき閾の上よりいふ、あゝ天を逐はれし者等よ、卑しき族よ、汝等のやどす慢心はいづこよりぞ 九一―九三

その目的削がるゝことなく、かつしば〳〵汝等の苦患を増せる天意に對ひ足を擧ぐるは何故ぞ 九四―九六

命運に逆ふ何の益ぞ、汝等のチェルベロいまなほこれがため頤と喉に毛なきを思はずや 九七―九九

かくて彼我等に何の言だになく汚れし路をかへりゆき、そのさまさながらほかの思ひに責め刺され 一〇〇―

おのが前なる者をおもふに暇なき人のごとくなりき、聖語を聞いて心安く、我等足を邑のかたにすゝめ ―一〇五

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