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この英語、訳せない! 翻訳家ならではの苦悩がつまっています。

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翻訳家って大変なんだけど、その苦労が表に出にくい、言わば「報われない」と見える職業かもしれません。もちろん、翻訳家の方自身からすればそんなこと無いと思いますので、あくまで、外から見て、そのように見えるということです。そんな風に思えるほど、一語一句吟味しながら、外国の文学を日本語の文章として移していく(再構築)していく、地道な作業なのが、この本を読むと分かります。

私たち、読む側の人間は、そんな苦労・苦悩があることを知らずに本を読ませていただいているのですが、その苦労の一旦を知ることができる、裏側をこっそり見るような面白いエピソードがたくさん載っています。

本の帯にもある「headは頭?顔?首?」や、「evening 夕方か夜か?」、『khaki 幅の広い「カーキ色」』などなど。簡単な単語でも複数の意味があり、日本語としてどのように表現するかは、その語が出てくる文章の背景や文化など、様々な事を考えて、最適な語を導き出さないといけません。「最適」というのは、原書の著者が意図した意味で、そしてそれを読む読者がその意図を感じることができることだと思います。

その作業が一冊分。もちろん作品によって分量は違いますが、分厚めの単行本で、上・中・下にも別れるようなものなら、先の見えない、果てしない作業にも思えます。

面白かったところを一つだけ挙げれば、文化の違いに関するところで、ドアの開閉について。欧米と日本では玄関のドアの開閉の向きが違います。日本は家の中からでしたら、外側に押して開けます。しかし欧米は手前に引いて開けます。close the door behind oneself という言い方はよく出てくるそうで、誤訳の例として「ドアを後ろ手に閉める」という訳し方をしてしまう。しかし欧米では先ほど書いたように、後ろ手とすると、手を後ろ向きに「押して」閉めるということになり、動作として不自然です。ただ、日本では後ろ手で「引いて」閉めることになり比較的やりやすいので、そのように訳してしまう。

私たち読者側からすれば細かい問題のように見えるところも、翻訳業の方たちは日々取り組まれていると思うと頭がさがります。このような文化の違いを考慮した翻訳は、辞書をめくるだけでは到底たどりつけないですし、昨今話題となっている機械翻訳も、特に文学に関する翻訳は、まだまだ「人」が「書いた人」と「読む人」に対して敬意や思いやりを込めて訳すことには、まだまだたどり着けないように思えます。

「ダ・ヴィンチ・コード」をはじめ、有名作品の翻訳に多く携わっている翻訳家の方が書かれているので、あなたが読んだこともある作品の裏側にも触れられいてるかもしれません。

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