【書評】 調香師の手帖ノオト 香りの世界をさぐる

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香りのシンフォニー。それは絵画でいえば色彩であり、料理でいえばスパイスや食材、そして楽器ならもちろんオーケストラ。香りは複雑に混ざりあい、鼻に届く。お香や香水、アロマなど、その香り自体を楽しむものだけでなく、もちろん料理の味にも大きく関わってくる香り。

長年、資生堂で香りのプロとして働いてきた著者の幅広い知識と豊富なエピソード。

香木では、有名な蘭奢待(らんじゃたい)は正倉院に納められている香木。聖武天皇の時代と言うから1300年近く前から、芳しい香りを、放っているという。その香りは、、織田信長や徳川家康もその香りを楽しんだとのこと。

香道にも触れられています。先日NHKBSでたまたま見た「平成の名香合~香道 五百年の父子相伝~」がとても面白く、最後まで見てしまいました。香道とは、名の通り、香りによる芸術、その作法と歴史と伝統。志野流という流派で、父と子の間で描かれる歴史の継承。そして名を伏せて名香を持ち寄り、香りだけでその名をあてる「名香合」を開く。その名香合わせに参加するのは、歴史の教科書に出てくるような人の子孫も。面白かったです。運がよければ、また再放送で見れるかも。

特に体臭の章が面白いです。もちろん体臭も香りの一つ。人種による体臭の違いや体の部位による違いが、筆者ならではの化学的なアプローチと、ユーモアにあふれる語り口でとても興味深く読めます。しかし、やはり人一倍匂いに対する感受性が違うなあ、とため息ついてしまう。さまざまな経験から体臭に対する文化や役割にまで触れます。コエンザイムQ10が筆者自身の体験として、加齢臭に効果を感じているそうですよ。

香りの出てくる文献は古く、聖書にも出てきます。香りはかなり古くからある文化のひとつであることは間違いないでしょう。日本でも源氏物語に代表されるように、香りが文学などの芸術の中で重要なファクターになっています。

香階という、音階を香りのに置き換えたものがとても興味深い。

音が調和する組み合わせがあるように、それを香りに置き換えて、香りの響きの調和を感じることができるもの。

香りに関する事柄の幅の広いこと、広いこと。もっといろいろ知りたくなると思います。

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